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一般書 >　恋いちもんめ

・ 宇江佐　真理　著　・ 幻冬舎文庫

　ここは江戸、両国広小路。年頃を迎えた水茶屋の娘・お初を中心に、 娘心・女心の純愛を事件を通して物語は進む。 水茶屋は美人の茶酌女を置いている。赤い襷に赤い前垂れを締め、客に茶を運ぶ傍ら愛想を振り撒く。 お初の店も三人の茶酌女を置いているが何のカンノと理由をつけては見世を休んだり、居着かずに くるくると顔ぶれが変わる。その度に娘・お初が見世を手伝うことになる。 ある日、ぷいっといなくなった茶酌女の変わりを口入れ屋（周旋業）に頼んだのだが。 女相撲に出られるほど体格がよく、器量ももう一つ、年も食う出戻り女を反対する 父に変わって娘・お初が雇い入れた。その女おきんは、笑うと愛嬌があった。 本当は別れたくなかったのだと話す。借金取りに追われ江戸をとんずらした後の始末までして出てきた。 客は、最初はおきんを見て驚いた顔をするが、慣れるとおもしろがって、あれこれ話し掛ける。 その内に、こっそり祝儀を渡す客も出てきたから世の中はわからない。気立てがよく真面目なおきんは お初の恋の相談相手にもなった。別れた頃のどうしようもない気持ちを掃除にぶつけたこと。 以前と同じ調子を取り戻すには、時間が掛かるとも。そのおきんの結末を知って恋心ほど 言葉とは裏腹に辛く、悲しく、計り知れないものだと。

■2012.09.01
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