読　書

読　書 >　アンネ・フランクの記憶

・ 小川洋子著　角川文庫

　解説・深町真理子氏の文より
　少女期　アンネの日記を読み、作家を志した小川洋子。 アンネの悲劇的境遇だけではなく、言葉が心を表現することに衝撃を受けたからだ。 以来、アンネを心の友にしてきた著者は万感の思いでアンネの足蹠を訪ねる。 フランクフルトの生家、アムステルダムの隠れ家、アウシュビッツへと歩き、フランク家の恩人ミープさん、 親友ヨープさんと語り合う。 少女の言葉に導かれた作家の魂の旅路である。
　閉じた本を膝に、ほうけた頭が、
　アンネの日記も若いころに読んでいる。授業で歴史も学んだ。 ある時、ヒトラーに関するドキュメンタリー番組も見た。その際、彼にも家族がいて、 父親だったと。その事を知った衝撃は大きかった。そんな風には考えても見たことがなかったのだ。 全然知らなかったあの頃から年も重ね10代から今や70代になろうとしている。時は過ぎても昔々の話ではないこと。 いまだに世界は揺れ動いていること。今回の 「アンネ・フランクの記憶」 から、訪れた先々で素敵な出会いが生まれたこと。 そして人々の温もりと著者のお人柄に助けられた。

■2017.06.13
topに戻る