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・ 柏井　壽　著　小学館文庫

鴨川食堂
　鴨川流と娘のこいし、トラ猫のひるねが京都・東本願寺近くで営む食堂には看板がない。 店に辿り着く手掛かりはただひとつ、料理雑誌「料理春秋」に掲載される鴨川食堂・鴨川探偵事務所。食捜しますの一行広告のみ。 縁あって辿り着いた客は、もう一度食べてみたいものに出会えるという。夫の揚げていたとんかつを再現したいという女性。 実母のつくってくれた肉じゃがをもう一度食べたいという青年など、人生の岐路に立つ人々が 今日も鴨川食堂の扉を叩く。寂しさも辛さも吹き飛ばす、美味しい六皿をご用意しました。京都の カリスマ案内人、初の小説！
　私にも時々無性に食べたくなるものがある。それは、母の炒り卵です。 平たい鍋に直接卵を落として、砂糖、醤油を加え、かき混ぜ、七輪にかける。 そして、菜箸で手早くかきまぜ、鍋ごとお膳に。 たったこれだけ、料理とは名ばかり。なのになぜか味も食感も違う。 私も母同様料理下手。何が違うのか。母の味、でもなくてもおいしい炒り卵を食べたい。

■2019.07.19
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