読　書

一般書 >　その日のまえに

・ 重松　清　著

ひこうき雲
　ベンの家族は、妻の祖母を見舞うためその駅へと向かう。その駅は３０年近く前の頃 クラスの友ガンリュウを見舞うために降り立った駅だった。村田先生と、僕と、美代子と、テッチャンと、 コウちゃんと、タケシでみんなが書いた色紙を携えて。
朝日のあたる家
　ぷくさんは４２歳、高校の教師である。毎朝ジョギングをしてから登校する。いつもの ようにジョギングをしていると、教え子武口と再会。その教え子から同じマンションに他の教え子 睦美が住んでいることを教わる。翌日の夜その彼女が訪れる。
潮騒
　俊治は今日、余命３ヶ月の宣告を受けた。３０年以上も前に住んでいた駅に降り立つ、港西駅である。 そして海岸へと向か中、同級生の石川と再会。海辺で小学生の頃の話に耽りながら友に心境を語る。
ヒア・カムズ・サン
　「ウチの親父は、俺がまだ赤ん坊の頃に交通事故で死んだ。以来、母一人子一人の母子家庭歴15年、 母ちゃんは一家の大黒柱で、俺のたったひとりの家族で、風邪ひとつひいたことがないほど体がじょうぶなひと」 その母ちゃんが健康診断の再検査の話を匂わした。トシくんは？
その日のまえに
　18年前に降り立った駅相模新町へと向かうふたり。妻の和美は、病魔に侵されあとわずかな命であった。 その和美の希望で電車に乗り込む。
　溢れる涙を拭いながら読んだ。逝く人、残される人、どちらも辛く、悲しく、切ない思いが頭の中でぐるぐるまわって 何も考えられなくなります。そして、それに向かってがんばろうと思えたとき、「愛」の存在が膨らんでくるのでしょうか？ 叔父、叔母たちがガンに侵され早死にし、残された従兄弟たちを想うと切なくなる。辛く悲しいあの日は、もうたくさんです。

■2006.01.01
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