友を偲んで
■ カーテン
あの世から 笑顔絶やすな がんばれと 光明射し 約束果たす
あの世から 笑顔絶やすな がんばれと 光明射し 約束果たす
ある日、美容院の中へ入ると美容師と客との会話が聞こえてきた。 客は、入院中で、病院から直接来たようだ。病状が思わしくないことを伝えている。 途中、ドライヤーなどの音で遮られながらも聞いてはいけないことを聞いてしまったことで なかなか顔をあげられないでいた。だが、聞き覚えのある声に衝撃が走った。客は友だったのだ。 その間、わずか数秒だったと思う。 年が明けてすぐに彼女は、我が家へやってきた。そして、私に「編み物用の糸」と編み方を 添えて去っていった。 翌日から、彼女の気持ちに応えようとがんばったが、形ある物ができないうちに逝ってしまった。 未完成の品を持参し、棺に納めていただくよう家族にお願いし、供養とした。 それ以来、今日まで気になり、やっと形あるものがひとつできた。託された形とは全然違うが。 けれど、あの日以来行きつけの美容院へは行けないでいる。いずれは彼女が希望した品を完成させて着用したところを 見てもらいたいと思っている。いつの日か逢えるであろう。そのときを楽しみに。 花丸がもらえたらいいな。